ハリー・ポッター最新映画シリーズのDVD『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の売上枚数が発売4週目で、合計100万枚を突破した( 売上データ )。これでハリー・ポッターのDVDは、『秘密の部屋』『賢者の石』『アズカバンの囚人』『炎のゴブレット』のシリーズ4作すべてが100万枚を突破、現在合計で668万枚を超えるセールスをみせている。
 近年、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ナルニア国物語』など、ファンタジー映画のヒットが続き、幅広い世代を巻き込んだブームとなっているが、そのなかでも「ハリポタ」が驚異的な人気を誇っているのはなぜだろうか?

 ORICON STYLEが、10代から40代までの男女1000人を対象に独自の調査(結果グラフ )を行ったところ、DVDの購入者には中高生と40代層の割合が、その他の層と比べて非常に高いことがわかった。これは、ファンタジー作品のメインターゲットである中高生に加えて、子供と一緒に楽しむというファミリー層に見事に訴求している結果といえる。
 また、その購入者のうち、「原作を読んだ」人は約7割、「劇場で映画を観た」という人は約8割にのぼり、シリーズにしっかりとした固定ファンがついていることを証明した。さらにその購入本数をみると、シリーズ4作すべてを購入している人が34%と最も高くなり、多くの熱烈なコアファンに支持されていることがうかがえる。

 アンケートのコメントを分析すると、「ハリポタ」は、他のメガヒットを記録したファンタジー作品と比較しても、1.キャラクター、2.ストーリー、3.世界観、ともにアピール要素が格段に多いことがわかる。
 まず、キャラクターだが、主人公ハリーにのみ人気が集中しているのかと思いきや、「一番人間くさいから」(静岡県/20代/女性)、「女の子が活躍するのは嬉しい!」(兵庫県/40代/女性)と、親友であるロン、ハーマイオニーにも均等にファンがついていて、実質の主人公は3人になっているともいえる。ほかにも双子のフレッドとジョージ、ダンブルドア校長やシリウス・ブラックなど、様々な個性を持つ豊富な登場人物から自分の好みに合ったキャラを見つけられるため、より幅広い層を取り込むことに成功している。

 次にストーリーだが、「冒険の中に感動がある」(大阪府/40代/女性)、「三人の中の友情の変化がすごく面白い」(茨城県/専門・大学生/女性)と、魔法あり、冒険あり、感動ありと、子供から大人までが楽しめる奥深さで、メインターゲットの小・中学生とその親である40代をダブルでガッチリ取り込むことに成功している。

 そして第3に「何度観てもおもしろい」(福島県/中・高校生/男性)と、ファンを捉えて離さない緻密な世界観があげられる。「小説で好きな、入学グッズを買いに行くシーンがあるから(DVDを購入した)」(神奈川県/中・高校生/女性)という声にもあるように、作者J・K・ローリングにより構成された場面は、一つひとつが印象的で、小道具も解説本やグッズが生み出されるほど凝っている。そのこだわりは映画化の際にも遺憾なく発揮され、「忠実
に描かれて壮大なスケール」(埼玉県/30代/女性)、「映像がキレイ!」(兵庫県/専門・大学生/女性)と、原作のファンを裏切らない。

 結局、「ハリポタ」のメガヒットは、魔法でも奇跡でもなく、「より多くの観客に、より多くのお金を落としてもらう」というビジネスの法則を忠実に実行した結果といえるだろう。実際、J・K・ローリングは執筆前に5年間をマーケティングに費やしたという。みごと年収1億2500万ポンド(約260億円)となった現在は、「リクタスセンプラ、笑い続けよ!(くすぐりの術)」の呪文を唱えなくても笑いが止まらないことだろう。(内山磨魅)

 『ハリー・ポッター』シリーズ購入ユーザー実態調査結果グラフ、DVD売上枚数データ はORICON STYLEで。
※グラフ、売上データは下段に掲載
(オリコン) - 5月29日9時59分更新

ロケット情報提供:headlines.yahoo.co.jp/